シャンパンの製造法
シャンパンはシャンパーニュ製法という製法で造られている、ということはシャンパンについて少し勉強した人なら知ってること。
けど、そのシャンパーニュ製法がどんな製法で、普通のワインの作り方とはどう違うのかっていうところは知ってる?
実はシャンパンの製造方法は、他のワインの製造法と比べてもかなり複雑で手間が掛かってるんだよね。
今回は、そのシャンパンの製造方法の流れについて紹介していきます。
引用:https://tabicoffret.com/article/24192/
ぶどうを収穫して選果する
まずは他のワインの製造法と同じように、原料となるぶどうを収穫する。
時期はぶどうが熟してくる9月から10月の秋頃のことが多いかな。
醸造家たちはぶどうの状態を見て、一番美味しいシャンパンが出来上がるであろうタイミングでぶどうを収穫してるよ。
ちなみに、畑の広さに関わらず、ほとんどの醸造家が機械ではなく手摘みでぶどうを収穫してるから、特に規模が大きいワイナリーでは何百人、千人単位で収穫してるらしい。
そして収穫したぶどうを選果、つまりシャンパンに使えるぶどうと使えないぶどうを選別していく。この時、未熟で味に雑味を出してしまうぶどうや痛んでるぶどうは破棄される。
圧搾して清澄する
次に、収穫したぶどうを圧搾、ぶどうから果汁を絞り出す。
ちなみにこの時に使われる圧搾機もシャンパーニュ地方独特の平べったい形をしていて、それを使うことで黒ぶどうの場合も皮の色素を出さずに果汁を絞り出せる。
けれど、圧搾した綺麗な透明〜黄金色の果汁にもどうしても細かな不純物は含まれているから、それを清澄させる。清澄方法は果汁に少量の亜硫酸と沈殿剤を加えることで、液中に浮いている不純物も沈殿させていく。
この状態で1日ほど放置させると、果汁のタンクの底に不純物が沈殿した状態になるから、上層部の綺麗な果汁を新しいタンクに写して発酵作業に移る。
発酵させる(1度目)
シャンパンを作るときは発酵作業を2回に分けて行ってる。
その1回目をこのタイミングで始めるんだけど、このときの発酵方法は普通の白ワインと同じで、樽の中でゆっくりと糖分をアルコールに変質させていく。
ワイナリーにもよるけど、発酵させる期間は1〜2週間程度が多いよ。
このとき、発酵の度合いや使用する樽の素材で味わいが変わってくるから、醸造家たちは熟成度合いや使用する樽には特に気を配ってる。
ちなみに、このときまではぶどうは品種別に分けて発酵させてるよ。
調合し瓶詰めする
1回目の発酵が出来上がった段階の状態を見て、醸造家たちは一番美味しいシャンパンが均一に出来上がるように液を調合していく。
この時も醸造家たちは出来上がりを予測してシャンパンの発酵期間や熟成期間を判断してるよ。
ちなみに、ぶどうの出来が良くて長期熟成により旨みが増しそうなシャンパンについては、年単位で熟成させるヴィンテージシャンパンとしてまた別の熟成期間が設けられるんだ。
その調合したワインを今度は樽ではなく瓶の中に調合した液と炭酸を発生させるためのシャンパン酵母、ショ糖を適量加えて、2回目の発酵に移るよ。
発酵させる(2度目)
2回目の発酵はさらにゆっくりと保管することで、瓶詰めの時に加えた酵母と糖分がだんだん炭酸ガスに分解されて、シャンパンの繊細な泡に生まれ変わるんだ。
その泡が発酵の際に少しずつ少しずつ、ワインに溶け込んで行ってシャンパンが出来上がっていく。
このまま発酵を続けていくと、炭酸を発生させるっていう役割を終えた酵母が沈殿となって瓶の底に溜まっていくよ。
熟成させタ後に動瓶し澱を抜く
熟成期間は平均するとヴィンテージではない一般的なシャンパンで15ヶ月程度、ヴィンテージの場合は3年ほど。
決められた熟成が終わったら、動瓶、つまり瓶のなかに沈殿した酵母(澱)を取り除く。
この取り除く作業が大変で、急にシャンパンを動かすと品質が悪くなってしまうから、1ヶ月から1ヶ月半かけてゆっくり動かして、最終的に下向きにする。
そして瓶の口に集まった澱の部分だけを凍らせて取り除けば、澱の除去は完了。
ちなみに、取り除くときは瓶のなかに充満しているガスが外に出ようとして、凍った澱を押し上げるから、スポンと綺麗に飛び出してくるよ。
こんな風に、澱を取り除くだけでも、ものすごく繊細な作業が行われてるんだよね。
リキュールを添加し打栓する
この澱を取り出す作業で瓶のなかに少し空きができるから、その余白にあたる部分に、味を整えるためにリキュールを加えていく。
2回目の発酵の前にもショ糖は入れられてたけど、炭酸ガスを発生させるために糖分は全て使われてるから、この状態では液のなかには糖分はほとんどない状態だよ。
このリキュールは甘みの強いショ糖を混ぜたものや、同じシャンパンの原酒などそのシャンパンの出来や醸造家の判断によって様々。
これを入れたらシャンパンは完成だから、このリキュールには「門出のリキュール」っていう洒落た名前も付いてるんだよね。
1本1本この作業を行っていくことからも、シャンパン作りに手間がかかってることがよくわかる。
ラベルを貼って完成!
シャンパンが出来上がったら、液が長時間空気に触れないようにすぐにコルク栓で密閉する。
ちなみに、炭酸ガスによってコルクが飛び出してしまう恐れがあるからさらに針金を使ってコルクを固定するよ。
それが終わったら、瓶にラベルを貼って、さらに開け口部分にもラベルに合わせたデザインのおしゃれなホイルが掛けられて出荷できる状態に。
これでシャンパンは完成!
世界中のシャンパン愛好家に完成したシャンパンが届けられる。
こんな風に、炭酸を入れたり味を整えるために、シャンパンは他のワインと比べてもいくつもの工程が挟まってることがわかるよね。
醸造家たちが腕によりを掛けて作ったシャンパンは、手間も年月もすごく掛かってるもの。その製造過程も知ってから飲むと、シャンパンの味わいがまた変わってくるんじゃないかな。